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新しい製材のJAS

安全で快適な住環境を創出するために、住宅産業において品確法(住宅の品質確保の促進に関する法律)の施行、建築基準法の改正等の動きを反映して、品質・性能が確かで信頼性の高い製品が強く求められている。品確法では、住宅の品質確保の促進、新築住宅の瑕疵担保責任に関する特例が謳われている。一方、国を挙げてCO2固定化など地球温暖化防止に向けた木材利用推進対策が積極的に展開されている。

このような動きに的確に対応していくためには、寸法、材質、強度性能等の品質基準が明確であるJAS表示のされた、安全性に優れた規格木材の利用促進を図っていくことが極めて重要である。製材関係の日本農林規格は、従来、「針葉樹の構造用製材」、「針葉樹の下地用製材」、「針葉樹の造作用製材」及び「広葉樹製材」の別に定められていたが、これらは製材工場等においてほぼ同一の製造条件で製造され、試験方法等共通の部分が多いこと等から利用者の利便性を図るため、これらJAS規格を一つの規格に統合することとし、新たに「製材の日本農林規格」が制定され、平成19年8月29日告示、同年11月27日から施行された。

製材の日本農林規格

1.適用の範囲

この規格は、原木等を切削加工して寸法を調整した一般材、押角、耳付き材及びまくら木に適用することとし、これらを「製材」と総称する。ただし、枠組壁工法構造用製材は別に規格が定められているため、本規格の適用から除外する。

2.定義

(1)造作用製材

製材のうち、針葉樹を材料として、建築物の造作に使用することを目的とするもので、?敷居、?鴨居等が対象となる。

(2)構造用製材

製材のうち、針葉樹を材料として、建築物の構造耐力上主要な部分に使用することを主な目的とするものである。 建築物の「構造耐力上主要な部分」とは、建築基準法施行令第1条第三項の定義により、基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(梁、桁その他これに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の振動若しくは衝撃を支えるものとされている。
(A)目視等級区分構造用製材
節、丸身等の材の欠点を目視により測定し、等級区分するものである。また、主として高い曲げ性能が必要とされる「甲種構造材」と、主として圧縮性能は必要とされる「乙種構造材」に区分される。
ア.甲種構造材
主として高い曲げ性能を必要とする部分に使用するもので、土台、大引、根太、梁、桁、筋かい、母屋等に使用する部材が対象となる。また、木口の断面寸法によって、構造用Ⅰ及び構造用Ⅱに区分される。
(ア)構造用 Ⅰ
?木口の短辺(厚さ)が36mm未満のもの、?木口の短辺が36mm以上、かつ、長辺(幅)が90mm未満のものをいう。
(イ)構造用Ⅱ
木口の短辺が36mm以上、かつ、長辺が90mm以上のものをいう。
イ.乙種構造材
主として圧縮性能を必要とする部分に使用するもので、通し柱、管柱、間柱、床束及び小屋束等に使用する部材が対象となる。
(B)機械等級区分構造用製材
機械により製材のヤング係数を測定し、等級区分するもので、E50~E150の等級区分を設けるものである。

(3)下地用製材

針葉樹の材料として、建築物の屋根、床、壁、天井等の下地(外部から見えない部分)に使用することを主な目的とするもので、?野地板、?垂木、?胴縁等が対象となる。

(4)広葉樹製材

広葉樹を材料とするもので、主に?家具用材、?建具用材、?フローリング原板、?集成材原板等に使用される。

(5)押角

下地用製材のうち、丸身が50%を超え、かつ、材面にひき面がある部分における横断面の辺の欠けを補った形が正方形のもので、コンクリート工事や船舶の積み荷の固定用材等に使用される。

(6)耳付材

造作用製材、下地用製材及び広葉樹製材のうち、耳すりをしないものであって、板類のものをいう。

(7)たいこ材

構造用製材のうち、丸太の髄心を中心に平行する2平面のみを切削したものであって、角類のものをいう。

(8)まくら木用

下地用製材及び広葉樹製材のうち、まくら木に使用するものをいう。

3.材種の区分

製材の材種は、次のとおり区分する。
  木口の短辺 木口の長辺
板 類 75mm未満 木口の短辺の4倍以上
角 類 75mm以上
75mm未満 木口の短辺の4倍未満

円柱類 (構造用製材に限る。)

・木口の形状が円形

・直径が長さ方向に一定

4.木材の基準強度

針葉樹の構造用製材の目視等級に対応した基準強度

樹 種 区 分 等級 基準強度(N/?)
Fc Ft Fb Fs
ス ギ 甲 種

1級

2級

3級

21.6

20.4

18.0

16.2

15.6

13.8

27.0

25.8

22.2

1.8

乙 種

1級

2級

3級

21.6

20.4

18.0

13.2

12.6

10.8

21.6

20.4

18.0

ヒノキ

甲 種

1級

2級

3級

30.6

27.0

23.4

22.8

20.4

17.4

38.4

34.2

28.8

2.1

乙 種

1級

2級

3級

30.6

27.0

23.4

18.6

16.2

13.8

30.6

27.0

23.4

ベイツガ

甲 種

1級

2級

3級

21.0

21.0

17.4

15.6

15.6

13.2

26.4

26.4

21.6

2.1

乙 種

1級

2級

3級

21.0

21.0

17.4

12.6

12.6

10.2

21.0

21.0

17.4

ベイマツ

甲 種

1級

2級

3級

27.0

18.0

13.8

20.4

13.8

10.8

34.2

22.8

17.4

2.4

乙 種

1級

2級

3級

27.0

18.0

13.8

16.2

10.8

8.4

27.0

18.0

13.8

針葉樹の構造製材の機械等級に対応した基準強度

樹 種 等 級 基準強度(N/?)
Fc Ft Fb Fs

ス ギ

E50

E70

E90

E110

E130

E150

19.2

23.4

28.2

32.4

37.2

41.4

14.4

17.4

21.0

24.6

27.6

31.2

24.0

29.4

34.8

40.8

46.2

51.6

 

 

 

目視等級に対応した

基準強度の表示に従い、

樹種ごとの基準強度

の値を適用する。

ヒノキ

E50

E70

E90

E110

E130

E150

11.4

18.0

24.6

31.2

37.8

44.4

8.4

13.2

18.6

23.4

28.2

33.0

13.8

22.2

30.6

38.4

46.8

55.2

ベイツガ

ベイマツ

E50

E70

E90

E110

E130

E150

- 9.6

16.8

24.6

31.8

39.0

- 7.2

12.6

18.6

24.0

29.4

- 12.0

21.0

30.6

39.6

48.6

無等級材(日本農林規格に定められていない木材をいう。)

樹 種 基準強度(N/?)
Fc Ft Fb Fs
ス ギ 17.7 13.5 22.2 1.8
ヒノキ 20.7 16.2 26.7 2.1
ベイツガ 19.2 14.7 25.2 2.1
ベイマツ 22.2 17.7 28.2 2.4

5.JAS製材品のメリット

・JAS製材品は、樹種・等級ごとに「木材の基準強度」が定められており、住宅の耐震設計のための許容応力度の計算に利用できます。 ・JAS製材品は、国土交通省の監修による「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)(平成19年度版)」や住宅金融支援機構監修による「木造住宅工事仕様書(平成19年改訂)」において指定された建築資材です。 ・JAS表示品であれば、全国どこで入手しても、同一品質・規格の製材品です。 ・設計者、建築関係の技術者が利用しやすいように、用途別にいくつかの製品区分ごとに規格を定めています。(例:目視等級区分構造用製材、機械等級区分構造用製材、 造作用製材、下地用製材、広葉樹製材など) ・乾燥材については、最終製品として使える「仕上げ材(SD)」や、出荷後寸法調整して使用する未仕上げ材(D)」などがあります。

リンク >>>全国木材検査・研究協会 http://www.jlira.jp/jas_gaiyo.html