安全で快適な住環境を創出するために、住宅産業において品確法(住宅の品質確保の促進に関する法律)の施行、建築基準法の改正等の動きを反映して、品質・性能が確かで信頼性の高い製品が強く求められている。品確法では、住宅の品質確保の促進、新築住宅の瑕疵担保責任に関する特例が謳われている。一方、国を挙げてCO2固定化など地球温暖化防止に向けた木材利用推進対策が積極的に展開されている。
このような動きに的確に対応していくためには、寸法、材質、強度性能等の品質基準が明確であるJAS表示のされた、安全性に優れた規格木材の利用促進を図っていくことが極めて重要である。製材関係の日本農林規格は、従来、「針葉樹の構造用製材」、「針葉樹の下地用製材」、「針葉樹の造作用製材」及び「広葉樹製材」の別に定められていたが、これらは製材工場等においてほぼ同一の製造条件で製造され、試験方法等共通の部分が多いこと等から利用者の利便性を図るため、これらJAS規格を一つの規格に統合することとし、新たに「製材の日本農林規格」が制定され、平成19年8月29日告示、同年11月27日から施行された。
この規格は、原木等を切削加工して寸法を調整した一般材、押角、耳付き材及びまくら木に適用することとし、これらを「製材」と総称する。ただし、枠組壁工法構造用製材は別に規格が定められているため、本規格の適用から除外する。
木口の短辺 | 木口の長辺 | |
板 類 | 75mm未満 | 木口の短辺の4倍以上 |
角 類 | 75mm以上 | - |
75mm未満 | 木口の短辺の4倍未満 | |
円柱類 (構造用製材に限る。) |
・木口の形状が円形 ・直径が長さ方向に一定 |
針葉樹の構造用製材の目視等級に対応した基準強度
樹 種 | 区 分 | 等級 | 基準強度(N/?) | |||
Fc | Ft | Fb | Fs | |||
ス ギ | 甲 種 |
1級 2級 3級 |
21.6 20.4 18.0 |
16.2 15.6 13.8 |
27.0 25.8 22.2 |
1.8 |
乙 種 |
1級 2級 3級 |
21.6 20.4 18.0 |
13.2 12.6 10.8 |
21.6 20.4 18.0 |
||
ヒノキ |
甲 種 |
1級 2級 3級 |
30.6 27.0 23.4 |
22.8 20.4 17.4 |
38.4 34.2 28.8 |
2.1 |
乙 種 |
1級 2級 3級 |
30.6 27.0 23.4 |
18.6 16.2 13.8 |
30.6 27.0 23.4 |
||
ベイツガ |
甲 種 |
1級 2級 3級 |
21.0 21.0 17.4 |
15.6 15.6 13.2 |
26.4 26.4 21.6 |
2.1 |
乙 種 |
1級 2級 3級 |
21.0 21.0 17.4 |
12.6 12.6 10.2 |
21.0 21.0 17.4 |
||
ベイマツ |
甲 種 |
1級 2級 3級 |
27.0 18.0 13.8 |
20.4 13.8 10.8 |
34.2 22.8 17.4 |
2.4 |
乙 種 |
1級 2級 3級 |
27.0 18.0 13.8 |
16.2 10.8 8.4 |
27.0 18.0 13.8 |
針葉樹の構造製材の機械等級に対応した基準強度
樹 種 | 等 級 | 基準強度(N/?) | |||
Fc | Ft | Fb | Fs | ||
ス ギ |
E50 E70 E90 E110 E130 E150 |
19.2 23.4 28.2 32.4 37.2 41.4 |
14.4 17.4 21.0 24.6 27.6 31.2 |
24.0 29.4 34.8 40.8 46.2 51.6 |
目視等級に対応した 基準強度の表示に従い、 樹種ごとの基準強度 の値を適用する。 |
ヒノキ |
E50 E70 E90 E110 E130 E150 |
11.4 18.0 24.6 31.2 37.8 44.4 |
8.4 13.2 18.6 23.4 28.2 33.0 |
13.8 22.2 30.6 38.4 46.8 55.2 |
|
ベイツガ ベイマツ |
E50 E70 E90 E110 E130 E150 |
- 9.6 16.8 24.6 31.8 39.0 |
- 7.2 12.6 18.6 24.0 29.4 |
- 12.0 21.0 30.6 39.6 48.6 |
無等級材(日本農林規格に定められていない木材をいう。)
樹 種 | 基準強度(N/?) | |||
Fc | Ft | Fb | Fs | |
ス ギ | 17.7 | 13.5 | 22.2 | 1.8 |
ヒノキ | 20.7 | 16.2 | 26.7 | 2.1 |
ベイツガ | 19.2 | 14.7 | 25.2 | 2.1 |
ベイマツ | 22.2 | 17.7 | 28.2 | 2.4 |
・JAS製材品は、樹種・等級ごとに「木材の基準強度」が定められており、住宅の耐震設計のための許容応力度の計算に利用できます。 ・JAS製材品は、国土交通省の監修による「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)(平成19年度版)」や住宅金融支援機構監修による「木造住宅工事仕様書(平成19年改訂)」において指定された建築資材です。 ・JAS表示品であれば、全国どこで入手しても、同一品質・規格の製材品です。 ・設計者、建築関係の技術者が利用しやすいように、用途別にいくつかの製品区分ごとに規格を定めています。(例:目視等級区分構造用製材、機械等級区分構造用製材、 造作用製材、下地用製材、広葉樹製材など) ・乾燥材については、最終製品として使える「仕上げ材(SD)」や、出荷後寸法調整して使用する未仕上げ材(D)」などがあります。
リンク >>>全国木材検査・研究協会 http://www.jlira.jp/jas_gaiyo.html