緊急安定対策前後の価格の動向
その後、年々上昇を続け、昭和36年には遂に戦後最高に達し、素材は4,300円、製品は5,500円と昭和30年の不況当時に比較すると、いずれも倍額以上の暴騰を見るに至った。
此の暴騰は、昭和32年以降吾が国経済の急速な発展と時の池田首相の高度成長政策と所得倍増計画により、大規模な工業生産の設備が盛んに行れた為である。
木材価格の暴騰を抑制するために政府は、昭和36年7月の閣議に於て木材価格緊急安定対策を実施するに至り、安定対策の結果、外材輸入が促進され、価格も漸く安定を見るに至った。
時を同じくして政府は、景気調整策として、強度の金融引締措置を実施。 こうした結果木材価格は下降の傾向をみせ、翌37年には、素材は、4,200円から3,900円に製品は5,500円から5,200円といずれも凡そ1割の値下りを見るに至った。
此の間、日銀は公定歩合を一厘引上げこれに続いて本格的な景気調整が打ち出され、金融引締めが一段と強化されるに至り、昭和27年から40年頃までは、長期の不況とともに価格は下降の傾向をたどった。
試みに緊急安定対策前後の木材相場並び此の間に於ける日銀の木材価格指数を見ると次の通りである。

 

平均相場