<資金計画と土地買受予約募集>
 前記の如く木材港建設の全体計画並びこれに要する事業費総額等がほぼ決定を見るに至った。先ず第1期工事費凡そ3,300,000,000円を如何にすべきかと言う難問題に直面した。第1期約3,300,000,000円のうち、用地及び水面貯木場の事業費1,650,000,000円は県の単独事業であり、且つ貯木場は木材業者個々の木材倉庫であると言う理由から公共費の対象にならない。従って港湾管轄者である県が施工するか、それとも木材業者が行うかの問題が起ったが、いかんながら当時の業界としては、十数億にのぼる巨費を投資する能力がない。又仮にあったとしても、それだけの巨費を貯木場建設費に吸収されることは却って業界のマイナスとなる。斯様な事情から県当局と種々協議の結果、結局貯木場周辺に造成する72,000坪の内根幹道路等を差引き、払下げ可能な工場用地64,000坪を業者に売却しての代金と水面使用料をもって、この建設資金に充当することに決定し、尚土地代金は貯木場完成後8ヶ年年賦で支拂う事に県と話し合い業界では直ちに貯木場並び土地造成計画図と資金計画表等を作成し、次表の要領により土地買受業者を募集し、予約を受付けることにしたが、当時売却予定の埋め立て造成地は、海原であり、砂原であり、青写真で見る埋立地であり、應募しても何処が自分の所有地となるか全然わからない様な情態であり、且つ当時市况は低迷情態であった事などから地元業者のみでは、其の半数にも達せず止むなく当時本市に外材を輸入する在阪商社等に働きかけ漸く満額に達した。
 斯くして昭和37年末までに土地買受の予約を取りつける段階に達し、翌38年から必要資金の調達に取り組むに至った。