席を籍りまして謹しんで厚く御礼を申し上げる次第でございます。
南港の建設は我が国で1番最初に取りあげました木材専用港であり、文字通り我が紀州木の国の伝統に1ページを加えるものでございます。造成面積21万数千坪総工費30数億円の巨費を投入し、近代工法の粋を集めて完成されました。ここ南港の1点に立って昔日を回想し、感慨誠に無量なるものが御ざいます。わけて南港をして今日あらしめた小野県知事殿には本日の晴れの竣工式を最後として、不日その御栄職を去られます事は私共1,000,000県民にとり誠に痛惜をく能わざる所で御ざいまして他日を期してこの地に永久に御功績を止めたい存念で御ざいます。
申すまでもなく我国の木材需要は目ざましい経済の進展に伴いまして遂年増大し、その外材輸入量は一昨年以来石油についで第2位を占め、しかも内地材の涸渇から今後も益々国外からの輸入に待たなければならない実情で御ざいます。これを和歌山本港の外材輸入実績について申しあげますと昭和35年の420,000石に対し年々に累増しまして41年にはついに2,200,000石、比率にしまして5.2倍に達して居ります。殊に外材の主流を占める米材について申しますと、昭和40年度の東京、大阪、清水、名古屋、広島、和歌山という本港の6位に対しまして昨41年度は実に東京に次いで和歌山、大阪、清水、名古屋という全国第2位の驚くべき順位となりました。この事実は当市、木材、木製品の優位を如実に示すものであり同時に之の実績を挙げ得ました事は此間南港の一部使用を御認め下さった県御当局の並々ならぬ御配慮によるものであります事は申すまで