野上谷付近の林相
和歌山県林業の沿革概要

1藩治以前の林業

本県は昔から“木の国”と言はれ、其の発祥は遠く之を神代五十猛命の御事績に求めざるべからず。日本書紀の傅うる所に依れば素盞鳴尊は其の御子五十猛命を給、新羅国曽戸茂利より埴土の舟にて出雲の国に遷住し木種を齊して吾が大八州にひらめ給へりとあり、之れ我国林業の起源として世に普く知らるゝ所なるが、五十猛命はよく御父神素盞尊の御経倫を翼け、特に植林の普及に力を致し給ひし神にして大屋彦神(おおやびのかみ)(家を建てる木種播植せられし神の意)又は、有功神(いさおしのかみ)と称へ奉りたり。又神武記によれば「五十猛命、妹大屋津姫命(おおやつひめ)、次抓姫(つまひめ)命凡此三神亦能分希木種既奉渡紀於伊国也」とありて、