これは当時の吉野材は全部筏で流下したためである。 従って1間物は長さ8尺にしてメガを除きたる正味の長さは1間7尺なりとす。

(2)角材の長さの標準は前記丸太材と同様である。但し角材の中に押角と称するものあり、これは多少丸味を附したるもので其の丸味の程度は尺角にたいし1方2寸までのものを一般に押角と称す。

(3)板類には4分板、6分板、8分板、1寸2分板があり正味の厚さは4分板は3分3厘、6分板は5分、8分板は7分、1寸板は9分、1寸2分板は1寸1分なり。 長さは普通1間の正味6尺5寸なるも厚さは産地により多少の差異あり。中でも秋田の如きは長さも厚さも分切れも著しく例えば巾1尺と称す板の中に5寸にも足らぬものがあり4分板も普通2分5厘、長さに至っては6尺物に半分以上の3尺の挽尻があった。これは当時殆ど木挽であったがために木挽技術の優劣によるものと解される。

(4)貫は長さ2間(13尺)にして巾は小貫は1寸3分、大貫は3寸6分、厚さは小貫3分5厘大貫7分なり。

(5)樽丸には上内稀、上赤稀、中内稀、中赤稀、下内稀、下赤稀、黒などと呼ぶ名称のものがあり、厚さは普通5分5厘、内外巾は3寸ないし5寸。長さは1尺8寸とし3駄丸又は4駄丸を1束とす。3駄丸の延尺は普通36尺にして4駄丸は48尺なり。尚樽丸のうち上内稀、上赤稀などとあるは優良材の芯材と辺材との境目で製造したものや又芯材のみで作ったもので区別し、黒とは変色した悪る木から造ったもので樽丸の中では最下級品である。