(3)木馬出し

多量の木材を搬出するに使用し、当時一搬に良く用いられた方法である。此の方法は先ず木馬道の開さくが必要で、木馬道には一時的のものと常設的のものがある。

  構造は道巾4尺ないし6尺とし、傾斜は4、5寸勾配を最も適当とす。之に長さ4尺太さ経1寸位の盤木を2尺置きに布き其の両端は杭で之を支える。これを俗に“ソリ道”と言う。木馬の構造はカシ材で作った2個の親木に4又は5個の貫を用いて長さ8尺5寸巾2尺前後の梯子形に造り、親木の上ヒノキ丸太を渡して積台とし、之に木材を積載し網を肩にかけ木材の便宜なところに鎹(カスガイ)を打ち込み之を右手に持って梶を取りつゝ傾斜を利用して木馬道を曳き出す方法である。

(4)修羅出し

此の運材法は木馬出しと共に当時良く用いられた。修羅出しとは木材を滑らして運搬するの意で、土修羅と木修羅出しの2つの方法があった。土修羅は山道の傾斜が適度で岩石のない所で地上を滑らして搬出す。木修羅は搬出すべき木材を用いて半円形の木道を作り、其の上を木材を滑下す方法で、先ず運材が起点より造り初め、順次に造り下して運材の尽きたる時上方より之を取り外しながら其の装置に用いた材も悉く、運び終わるもので、運材方法として非常に便利な方法で現在でも奥地に於ては此の方法を利用しているところは少なくはない。 此の他架線による方法などがある。

 前記の様な方法で枝川まで運び出された木材が管流しと称し次の様方法をもって本流まで運び出される。