(1) 北洋材と製函製材
製函製材は、北洋材入荷以前は主として、日高方面の樅栂を原料に堅鋸でネル箱、茶箱、マッチ箱などを僅ずかに生産するに過ぎなかったが、北洋材の移入を見るに至り、急に設備を拡張し、堅鋸5台から6台、多き工場に於ては7、8台を設置した生産量も1ヶ月1工場当り平均5,000石から6,000石に達した。
当時本市の原木消費量は1ヶ年凡そ900,000石内外であったが、其の約4割が製函工場に於て消費され、大型製材工場の殆んどは製函製材所で製函製材の全盛期を迎えるに至った。
其の主なる製函工場には、中長商店、花畑製材、南海木材、国華製材等があり、中長商店は主に人絹箱、茶箱、マッチ箱などを生産し、花畑製材はネル箱、南海木材は人絹箱、茶箱、石油箱、ビール箱等を生産、国華製材は茶番を専門に生産した。
当時茶番は、シンガポールからコロンボへ、石油箱は濠州へ、人絹箱やネル箱、其の他の箱類は内外用として需要が盛んであった。
前記各製函工場の設備情況は次の通り(以下設立年代順位)
主な製函工場設備概用
中長商店製材部(代表者 中谷長蔵)
設立年月日 大正3年
工場所在地 和歌山市畑屋敷
設備概要 堅鋸3台、其の他附属設備一式、動力数50~60馬力(電力)
生産量 月産約3,000石(原木消費量)