(一)初期の段階と準戦時統制
日支事変が、長期化の戦況をもたらすと共に、国際関係が日増しに緊張し、米材、北洋材、南洋材等の輸移入材が減少し、国内資源に依存する方向が高まり一方経済的には、“東亜共栄圏”確立の思想が盛んに叫ばれるに至った。ここに於て大陸向けの木材輸出が急速に増加し、過去に見られない出超記録となり一方木材価格は暴騰の気配に転じた。この頃から為政者間に木材の生産から配給までの一貫した木材統制の必要性が叫けばれるに至った。
それには先ずその基本となる木材規格を全国的に統一する事が先決であるとの見解から、農林省当局は全国一本建ての規格による国営検査を断行する事が、さし当っての最良の策であると考えた。ところがこれには新たな法的根拠が必要であり、その対策について検討し始めた。その結果昭和12年9月10日法律第92号をもって制定した<輸出入品等に関する臨時措置に関する法律>に基ずいて、昭和14年9月27日付をもって、<用材生産統制規則>を制定、次いで同年10月12日付をもって<用材規格規定>と<用材の用途>指定の事項を告示した。尚木材検査については一部実施中の都道府県の公営検査を全国的に拡充強化する方針を定め、その費用の一部を国庫補助とすることに決定した。特に軍側に於ては公営検査に合格したものは、納入検査を省略するという条件もあり、この制度は非常に有利であった。これら一連の措置に関する要旨は大要次の通りであった。
1、規格検査に合格したものでなければ、取引し