った訳ではなかった。それは当時木材統制法が未だ撤廃される事なく更に昭和21年10月10日新しく林業会法が公布された為である。此の林業会法に基ずき各流域に林産組合が設立され、本市にも和歌山木材林産組合が設立され組合長に大瀬氏が選任された。此の林業会法の目的は、地木社解散後に於ける自主統制と戦後の復興用材の生産確保と、配給の適正を期する事が主な目的であった。従って地木社解散後、新に木材業を営まんとするものは総べて地方長官の許可を必要とし、且つ許可を受けたる業者は政府の生産配給計画に応じなければ、自由に売買ができなかった。其の方法は地方長官は国より割り当てられたる数量にもとづいて、これを各林産組合に割当て、林産組合は其の割当て数量に応じて生産者には生産割当表や移出入証明書、消費者には購入割当票を発行するという様な方法があったがために、木材業社は総べて林産組合に加入しなければ営業が出来ない実情であった。
一方価格は、戦時中の木材統制法により協定されていたので地木社解散後といえども法的には木材統制時代と同様の情態で戦時中の軍用材が戦後の復興用材に変ったに過ぎなかった。
尚此の頃、他の法規として、政府は臨時物資調整法を改正して、指定生産資材割当規則を発令し、統制物資の割当は、其の所管、官庁の出先機関によって行う事とし、昭和22年度末農林省の出先機関として各府県に農林省資材調整事務所が設置せられた。同所が設置されるにおよび木材の生産に要する資材及び木材配給のチケットを同所が発行することとなり、自主統制から再び官僚統制に逆もどりしたかの感を深くするものがあり、ここに於て