和歌山木材協同組合が改組20周年を記念して「木材史」を発刊されましたことは、誠にご同慶にたえません。 和歌山木材協同組合は、明治23年「和歌山木場立木材商組合」として発足して以来、数多くの組合員の方々のご支援のもと、紀州木の国の伝統産業として、名実共に繁栄してまいりましたことをあらためてご祝福申し上げます。 わが国の経済は、高度な水準で成長を続けてまいりましたが最近、米国のドル防衛と、関連する他国間通貨調整のあおりにより、産業界全般が相当な影響を受けており、一方国内においても、公害問題、労働力の不足等、多くの難問題をかかえ内外共に急迫した時期にあります。こうした中で、企業の安定を図ることは並大低のことではありませんが、業界の一致協力と相互扶助の精神で公正な経済活動の場を確保し、経済的地位を向上さすことが、もっとも大切なことであり、また組合組織としての課題でもあります。 幸い、本市木材界は、北部臨海工業地帯の主要地を占める和歌山港の一かくに広大な木材港を建設し、海上および陸上輸送と、その他の付属施設も遂次完備し、今や「木ノ国」の重要産業として躍進しています。 木材界は、その偉大なる産業基盤と強力な組織をもち合わせる一方、他の地場産業と比較して将来性のある成長産業であることなど、本市産業界のエリート的存在でもあります。そして、その期待は50万都市を目指す市政にとっても大なるものがあり、市政の発展に貢献すること甚大であると信じます。 長い業界歴史の中で築き上げられた協同組合改組後の数々の功績は、さん然と光り輝いています。 今後は更にこれを機とし、和歌山木材界の柱として、確固たる信念のもと業界とともに、和歌山木材界の誇りと熱意をもって、迫りくる苦境の波を立派にこえられ、さらに発展することを希望して止みません。
昭和46年11月