和歌山木材協同組合理事長
昭和25年に和歌山木材協同組合が発足してから20余年になりますが、その間、組合の実績も幾多先人のたゆまざる努力によって苦難の道をのりこえ現在の発展への素地を築かれたのであります。殊に戦後20数年、敗戦の惨禍から立ちあがるため、また、目まぐるしく変転する現在社会でややもすると協同の方向を見失いがちな中で今日の発展を打樹てられた先覚者の英和と努力に対し深い感銘を覚え感慨無量なものがあります。
顧りみますと当組合は明治23年和歌山木場立木材商組合として創立され、以来80数年間の永い歴史と伝統を有し、この間時代の変化に伴い名称等の変更があり、昭和24年、中小企業等協同組合法の執行により、翌昭和25年2月(和歌山木材協同組合)と改組されたのであります。過般創立20周年記念事業の一環として先人の功績をたたえ、治績を偲び組合発表の姿を後世に残すため、和歌山木材史の編さんを志し、ここに発刊の運びとなりました。この間史実を丹念にたずね成長発展を記そうとするについて必要な関係資料は散逸し、特に昭和20年7月の戦災により殆んど資料焼失、この探索、蒐集、検討から開始して纒めあげることは容易な事業ではありませんでした。
出版には堀良造氏を長とする編さん委員が中心となり、紀州木材新聞社主、島原志磨氏が編集と執筆に当り、先輩諸氏の再三にわたる会合をもつなど、いろいろ関係方面の絶大な協力を得てできるかぎりの力と手を尽した関係者の並々ならない労は大いに多としなければならない。また私はこの意義ある事業が全組合員の熱心な支援によって初めてなしとげられたことを誇りとするものであります。この木材史を通じ当地木材業界の変遷についての認識を新にされ、今後の業界発展への礎ともなり、また本県木材業に関心を持つ方々により活用を願うれば誠に幸甚であります。
終りに約3年にわたりこの編集と作成に盡力された人びと、数々の理解ある教示と好意ある協力を寄せていただいた方々、さらに貴重な資料を提供下され、また困難な作業を引受けて下さった中和印刷紙器株式会社等の各位に深甚な謝意を表し発刊のご挨拶といたします。
昭和46年11月