政府亦茲に見る所あり、明治30年4月法律第46号を以て森林法及附属法令を発布す。即ち県に於ても同法に基き営林監督国土保安其他一部の事項に関し一層の意を用い只管法の主旨を徹府せんことを努めしかば之より面目を一新して、諸般の林業、林政漸く著につき今日の到達の基礎をなす。

スギ

4.大正-昭和の林業と林政

大正期に入って同4年に各郡に林業技手一人宛を配置して公有林野整備統一、更らに一般林業の奨励に当らしめた。この頃、県下に製材業とみに盛んとなり、和歌山市及其の周辺の製材工場は自県の生産材のみでは足らず、消費木材の大部分を輸入材及び四国、九州、中国の原木を多量に移入するに至った。一方大正12年頃から林政の進展は急速度となり防潮林、防風林の造成、県有林の設定公有林造林の積極的奨励、特産樹の増殖が更に推し進められた。 昭和11年には県林業試験場が古座川の下流に初めて設けられ、本県特有の薪炭林の択伐的改善製炭技術の向上、特殊林産物の増殖の研究調査が本格的に初められ、本県の林政は当時の日本の林業学界の影響を受けて漸く新しい技術の研究指導の傾向を見るに至る。