(八)筏の種類

(1)筏の組み方

吉野川は上流は峻険にして狭く且つ浅瀬が多く筏乗り下しは極めて困難であった。従って筏の組み方には常にこれらの事情を勘案して組まなければならなかった。これが筏編成作業の第一条件であった。しかして概ね次の様な方法をもって編成された。

  先ず規定の材種と本数をもって、一定の巾4尺にせなければならないから末口の直径を調べ、これを大小たくみに組合す事が先決であった。末口径5寸以下の材にあっては2重ないし5重に重ね先ず最初に最下層部より編んで漸次上層に及ぶ様に組み、最下層の木材の先端の凡そ3寸以上の所を1寸斧で切り込む(之をメガという)これに藤蔓をかけて連結し、一番下の1重を組み終ると、此の上へ更に1重の木材を並べて、そのあとは唯その周囲を一度に固く藤蔓で巻きしめる。幾層重ねるも此の方法を繰り返しただ其の中間に於て上下の藤蔓を繰り合わせて引きしめる。筏の前端は此の様に丁寧に組むが後方は唯全部の周囲を一時に藤蔓で巻きしばり所々に上下の藤蔓を綴り合せて置くのみである。これらの筏は凡そ初めに2尺巾の物を作り其の2つを結び合せて4尺巾とする。但し、細物の材種即ち6本結以上の筏は皆1重に●むもので其の側にある木材には2つのメガ次の1個のメガを前後両端にうがって之に藤蔓を通して木材を編み、中央部の材は少こし切り込みをつけるのみで、其の全体を藤蔓で巻きしめることは前の方法と、変らない。筏の全長は2間材なれば15床、3間材なければ前端に2間床をつなぎこれに3間床、