検査が間に合わず出荷がおくれて業者が困る様な場合がままあった。 然かしながら検査済の丸検がないと運送屋が引受けられない仕組になっていたので、検査が間に合ない様な時には検査員の丸印を内緒で借りて押すと言う様な業者もあった。 まだこれなどは良い方で、ある地方では検査申請を出して何日も検査員が来てくれないとしびれを切らして丸検印の寸法と同じ位いの太根に小刀で検査済印をたくみに彫刻して自分で勝手にポンポン捺印して出荷したと言う笑い話もある。 検査手数料は各県によって異なるも本県では挽角1立方メートル2銭5厘、板小割類4銭4厘であった。 尚検査制度実施したる当初、1ヶ年間の検査数量は挽角120,115立方メートル、板類88,000立方メートル、小割62,000立方メートルの総計270,200立方メートルの約100万石であった。 更に検査品の移出先を見ると最も多き移出先は大阪府にして、移出総額の6割、次は兵庫県の1割5分、台湾は1割2分、東京は僅かに4分、其の他は京都、奈良、愛知、岡山、広島、香川、福井等の各府県へ移出された。 此の検査制度は戦後進駐軍用材納入の関係もあって、昭和24年頃まで実施されたがその後間もなく廃止された。 以下参考のため検査申請様式や同規則を掲載す。
木材検査員駐在所の所在地
和歌山、海南、大崎村、富貴、橋本、高野口、鞆淵、東野上、箕島、湯浅、船着、御坊、印南、南部、田辺、新庄、日置、周参見、江住、田並、高池、下里、勝浦、新宮、 以上24ヶ所であった。