あまりにも種類が多く、且つ使用目的が多種多様のため内地材の価格決定についてはしばらく調整期間を必要としたが、昭和15年2月先ず軍用材納入の認定価格を決定し、続いて同年12月19日農林省告示第671号をもって一般木材にも初めて公定価格制度が実施された。此の間戦線の拡大と共に軍用材の供出制度が実施せられ、応注資格は個人よりも公共団体と定められ総べて入札をもって行なわれた。本県では当初県木連が其の任にあたり傘下の各組合に割当てたるも、その後受注団体として県木連に変って紀木商会(代表者県木連 会長杉本喜代松)を設立し、軍用材の注文に応じた。この様な関係から紀木商会の首脳人は、陸海軍省に日参するという多忙を極めた。
 生産命令の発令
 尚此の間法的には、伐採を調整するための森林法の改正、大陸向け輸出を商業的な意欲で行なう事を制限するための<円ブロック向輸出の統制>一般の建築を制限するための<建築統制令>の公布など来るべき統制時代への措置が相次いで行なわれるに至った。
 一般社会情勢
 此の頃の大陸戦線は益々拡大の一途にあり、首都南京の陥落に続いて武漢三鎮の攻略、ノモハン事件など戦線は中国全土に拡がりつゝあり、更に欧州に於てはドイツ軍のポーランド進撃、英仏のの対独戦線の布告日、独、伊、三国同盟の調印などがあり、第2次大戦が始まりつゝあった。国内に於ては国民精神総動員運動、国民徴用令の施行、新体制と大政翼賛会の発足、国民生活に於ては主食は米飯から、イモ・ウドン・ソバ類の代用食に砂糖、酒類等は配給制度に、服装は女性のパーマネ