今までの近代化は人件費を最少限にして能率をあげることに重点を置いてきた。然し能率ばかりあげることに専念すると細かい木取りが出来なくなる。例えば石4,000円の米材を引いて2割から3割の腐りを引いて6,000円の角の製品ばかりをとるのが得か、それとも細かく挽いて5,000円の製品をとるのが得か、此の点、良く研究せなければならない。それに機械の償却費のことを考えなければならない。昔の製材機であれば一度据えつけると10年位いは修理せずに使えた。ところが最近の製材機は常に故障が起り修理をしなければならない。其の修理期間中運転を中止しなければならないから能率が非常に落ちる。
とにかく近代化近代化と言って機械設備にあまり金をかけると金利も出ない。
これからの近代化はあまり機械設備に金をかけずなるべく職人を少なくして能率のあがる方法と木取りを細かくして、金の上がる製品をつくる事である。そのためには経営者自身が工場に入って監督を充分にすることである。
 (5)70年代の製材と木材業
植平 匡玄氏…70年代の木材製材業の最も注目すべき点は、住宅産業である。
住宅産業の1番のにない手は木材業者であるとともに木材業界にとっては楽観のできない極めて重要な問題である。
現在大企業や商社が目をつけているのは海洋産業と住宅産業並び原子力産業である。
このうちで最も資金のいらない、且つ最も原材料の集まりやすいのは住宅産業であると思う。この様なことから現在住宅産業に手を伸ばしている業者は大企業では約10社、中小企業では百数十社ある。