1.木材は便利で安い建築材料として古くから建築・家具などの業者、消費者に親しまれてきましたが、最近では、木材は再生産が可能であり、製造時に排出する二酸化炭素が他の建材に比較して極めて少ない温暖化対策の優等生であるとして、地球環境に貢献する木材の側面に関心が高まってきています。
皆さんは木材製品を、何を基準に選んでいますか?もちろん価格やデザインのこともあるでしょう。でも、これからは是非着目して欲しい点があります。それは、その製品の材料が合法木材かどうか、という点です。
2.その背景には違法伐採問題があります。海外の一部の地域で法令に違反した木材が伐採され不法に輸出されている違法伐採問題が指摘されていることは、産地国の税収や環境に影響があるだけでなく、環境に優しい木材を標榜する木材業界にとっても大きな問題となりつつあります。
熱帯林などを中心に、世界中の生産量の8%が違法伐採生産であるとされており、世界銀行の報告書によると「世界の違法伐採は公的な森林のみに限っても、100億ドル(約1兆2000億円)の減収になり、持続可能な森林管理に関するODA供与額の6倍に及ぶ」とされています。また、日本は世界で2番目に違法伐採木材の輸入量が多いという指摘もあります。
3.こうしたことから政府は違法伐採問題に対処するため、各国と協調して木材輸出国における違法伐採対策を支援するほか、グリーン購入法に基づき、平成18年4月から政府調達の対象となる木材・木製品について、合法性が証明されたものを購入することに決めました。政府が率先して購入するということは、広く国民にも合法木材を積極的に買ってもらうことを期待するものです。
4.木材の産地で適切な法律に基づいて適切な取扱がなされたことを消費者に知らせるため、林野庁は「木材・木製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」を作成しました。その中で新しく提案されたのが「業界団体の認定を得て事業者が行う認定方式」です。
木材の生産現場から消費者までは素材生産、製材、流通などの多段階の経路をたどるため、消費者が全ての資材の流通ルートをたどることは不可能です。そこでガイドラインでは、「伐採にあたって」の合法性を消費者に説明するため、木材の売買に携る企業が「分別管理と合法証明の連鎖を」作ることとしています。
業界団体による認定事業体とは、その証明の連鎖に参加する資格を持つ信頼できる事業体(企業や、その一部の事業部、事務所、事業を行なう組合など)であり、そのことを、自身が属する業界団体によって認定された事業体です。